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【インタビュー】2014.3.18 株式会社LIXIL 住宅研究所 キッズデザイン研究所 伊藤 淳子 様
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●LIXIL住宅研究所、キッズデザイン研究所のご紹介をお願いいたします。

LIXIL住宅研究所は、LIXILグループの住宅・サービス事業を担っており、住宅のフランチャイズチェーンを3つのブランドにて全国展開しています。そのブランドは、アイフルホーム、フィアスホーム、GLホームの3つになります。キッズデザイン研究所は、LIXIL住宅研究所が3つの住宅ブランドを通して販売する住宅のコンセプトを具現化するために設立された社内シンクタンクです。

これまで、住宅に対するコンセプトとして、“ユニバーサルデザイン”や“バリアフリーデザイン”といった考え方がよく使われてきましたが、これらは本来すべての人が対象にも関わらず、高齢者や体の不自由な人向けといったイメージが強くなっています。そこで、すべての人を対象とするキッズデザインとう考え方が生まれました。そして、子ども目線で考えれば、子どもから大人、高齢者、体の不自由な人すべての人が安全・安心に暮らせると考えるキッズデザインを社内の行動指針としました。

この研究所は、資源・エネルギー・廃棄物の問題、少子高齢化、安全・安心問題、地域経済問題、教育問題といった様々な社会問題を住宅を通してその解決方法を探り、これからの住環境のあるべき姿の研究・開発を行っています。
2008年からは、キッズデザインの理想をカタチにしてきた未来の住宅のあり方を提案・発表してきており、昨年2013年の秋に最新のコンセプトホーム(実験住宅)として「レジリエンス住宅 CH14」を発表しました。このネーミングは、有識者からのアイディアを元に、昨今の世の中の問題解決に繋がるであろう取組みが伝わるようにこの名称にしています。今回は、平常時の免疫力・非常時の回復力をテーマに強くしなやかな強靭性を全面にうちだし、現政権が進める政策・世の中の流れに即したものとなっています。これまでコンセプトホームを様々な方に見ていただきご意見を頂いたり、各種実験を実施し、いろいろな検証を行っています。

●今回、キッズデザイン住宅研究所さんがKooNeを「レジリエンス住宅 CH14」へ導入いただいた経緯を教えてください。

最初にこのKooNeについて知ったのは、LIXILグループ内の研究所チームからの紹介です。前述のコンセプトホームを建設するにあたって、通常、LIXILグループにある各研究所が取り組んでいることをヒアリングし、コンセプトホームに取り入れています。そんな中で、音響システムとしてのKooNeを提案してくれました。

●伊藤さんが初めてKooNeを体感した際に、実感されたことはどんなことですか?

最初は不思議な感じがしました。ボーっとした感じで聞いていると、どこから音が出ているのかわからない感じでしたが、意識的に耳を傾けると下から川のせせらぎ音が、上から鳥のさえずりが聞こえてきて、リラックスできる状況に自分がいるのがわかりました。外の自然の中にいるような感覚になったのを覚えています。とにかく自然に近い音というのを体感できたと思います。
また、KooNeのデモをしている途中で流れていたKooNeの音を一瞬切って無音の状態になったのですが、“音があるとしゃべりにくいと、通常思われていることの真逆で、音があった方が話がスムーズにできる”と説明にあった状態を実体験でき、本当にそうだったのか、と不思議な感じを受けました。

●どんな目的や期待をもって「レジリエンス住宅 CH14」にKooNeを導入されたのでしょうか?

「レジリエンス住宅」のテーマの中に、“健康”があります。今回のコンセプトホームは女性の建築家と4名の女性医師から多くのアドバイスをいただいて建築しているのですが、医師から健康についてのアドバイスで、健康の基本は“睡眠”であり、昨今、睡眠障害を持つ方が増えているという話から「よく眠れる寝室」を作ろうということになりました。
眠りに関しては光、音、湿度が重要とのことで、今回の寝室では、光については窓や照明をコントロールできるように設置、音については静けさを提供するだけでなく、リラックスできる音を利用しようと考えました。そこでKooNeの導入が決定したのです。

また、最初導入を検討している時に、ビクターさんよりKooNeはオフィスや商業施設には多く導入されてきていて、副交感神経値をアップする効果は得られているが、それが眠りのためのリラックスと成り得るか未知であるとお話をいただきましたが、元々コンセプトホームは、実験・開発の場としての建築なので、導入することで様々な実証を得られるのではないかと考え最終的に導入にいたりました。

●LIXIL住宅研究所 キッズデザイン研究所のスタッフのみなさんはKooNeを体感されてどのように感じられていたでしょうか?

「レジリエンス住宅」建築前に、私を含め数人の社員が1週間ほどKooNeのシステムを持ち帰り、睡眠時に音を聞きながら入眠することを実験的にやってみたのです。
その時、水の音だけを持ち帰ったのですが、最初の2日間は、流水音が、どこかで水漏れをしているのではという気がかりを感じて、そんなに良く眠りにつけなかったのですが、3日目からは、その音になれたのか、眠りやすくなった気がしています。他の社員もアンケートで3日目からなれてきて良く寝られるようになったという結果が出ました。

●KooNe導入後の「レジリエンス住宅」に来場された方の反応などありましたら教えてください。

このコンセプトホームにはグループ会社のほかに、多くの会社様(照明メーカー様、建材商社様、繊維会社様他)にもご協力いただいており、その方々にご来場・ご見学いただきましたが、KooNeの評判は高かったようです。アンケートを取らせていただき、その中で良かったと思う提案の第3位に“超高周波環境音”(=KooNeによるハイレゾリューション音源)が入っていました。

「入眠・起床時の照明や超高周波環境音が特に好印象でストレスの多い現代人にとって、自宅=リラックス空間となる素晴らしい要素になると思いました。」

「説明員の方に寝室で実演していただき、高級ホテルよりも快眠出来ると感じました。」

「高周波環境音はビクター製でしたが、20kHz以上の音にリラックス効果があるというのは初めて知りました。」

「超高周波環境音、ブルーライトコントロールはぜひ長期体験してみたい。」

といった、寝室におけるKooNeを含む良眠の提案において好印象なコメントをいただいています。

また、一般の御来場者 約80名様(男女比1:1)にもアンケートを実施し、質問の中でレジリエンス住宅のエネルギー・環境関連以外の取組みで気になった点を伺ったところ、ダントツで“良眠システム”に興味を持った方が多くいらっしゃいました。

さらには、今回アドバイスを下さった女性医師の方々に実験的にレジリエンス住宅で1日宿泊体験をしていただきましたが、寝室のKooNeについては、「川沿いの温泉に来ている気分、自然の音を聞いている気持ちになった」という感想をいただいています。

●KooNeに期待することがありましたら教えてください。

住宅を扱っているので、やはり、各世帯が購入できる住宅用のKooNeの価格帯ができたらいいなと思います。KooNeはその自然音源を利用するのに月々の利用料が発生する仕組みになっていますが、現在のビジネス向けの価格は個人宅には難しいので、ぜひ、マンションなどからでもスタートして個人宅向けの商品、価格の検討をしてもらいたいと思います。家に帰ってテレビではなく、まずKooNeのスイッチをつけるということができたら、家が今よりもっとリラックスできる場所になるのではないでしょうか。

また、音源も、生活に溶け込むようなものであったり、最初から寝室向けの音といった効果が望めるものを用意できたらいいですね。リラックス度を測るというのはなかなか難しいですが、キッズデザイン研究所でも、眠りのリラックスとそれ以外のリラックスの種類の違い等を検証するようなチャレンジをしてみたいと思っています。

●LIXIL住宅研究所、キッズデザイン研究所の今後の取組み等ありましたらコメント願います。

これからもコンセプトホームという実験住宅を通して、世の中にとって価値のあるものを継続的に提案、検証し、キッズデザインの考え方を広めていきたいと思っています。

■インタビュー後記■

人が生活していくために必要不可欠な「住まい」。その住まいのあり方は昔と今では大きく異なり、住宅の進化のスピードは、様々なアイディアとテクノロジーの進歩とともに加速しているように思えます。新しいアイディアや革新的な技術に積極的に興味をもち、その活用方法を真剣に考え、未来の住宅への強くて優しい思いを語ってくださったのが印象的な伊藤さん。「子供から高齢者、すべての人にとってのあるべき住環境」の提案を世間に発信し続けるキッズデザイン研究所の取組みは、生活している多くの人たちの思いや希望を間違いなく映し出しているように思います。今回、LIXIL住宅研究所様が掲げる、人に地球にやさしい家づくりの一端にKooNeを活用いただき、ありがとうございました。

Interviewer:ビクターエンタテインメント(株)エンタテインメント・ラボ 岡崎早苗