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【インタビュー】2015.6.16 フォーハーツ株式会社 代表取締役 大髙啓二 様
  • 導入箇所:(1)JA仙北葬祭センター
         (2)フォーハーツ株式会社 四ツ谷オフィス [ http://4hearts.co.jp/ ]
  • 施工時期:(1)2014年10月 (2)2015年5月
  • 施工・販売会社:株式会社JVCケンウッド・アークス [ http://arcs.jvckenwood.com/ ]
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●4heartsさんのご紹介をお願いします。

「4hearts」とは四葉のクローバーに由来しているんです。家族で四葉のクローバー探しをしている際、娘が「見つけたよ!」と言った時の笑顔がとても印象的で、彼女の笑顔が家族全員を幸せにしてくれました。前職から独立するとき、「多くの人の心を動かし、幸せにしたい、笑顔にしたい」という思いがあり、自分にとっての笑顔と幸せの象徴である四葉のクローバーが、4つのハート型の葉から成ることから「4hearts」としました。

独立にあたっては、前職でVMD(Visual Merchandising Display)の担当をしている頃、東北復興支援にあたり、何もないところからの街の復興にVMD取り入れるという支援に取り組みました。その時、ゼロからの再生力とVMDのもつ力というのを目の当たりにし、生涯かけて自分でVMDとの関わり広げていきたいと強く思ったのがきっかけです。 また、その頃からVMD事業に区分け五感に訴える“音、香、光、動”をデザインする五感のプロジェクト事業の責任者として様々な空間デザインの新しいプロジェクトに携わり、これからの空間デザインの在り方を考えていました。

こういった、これまでの経験を踏まえ、4heartsは、これまで店舗設計は専門のインテリア・建築業者が、イベント・プロモーションは広告代理店が、店舗内コンテンツは店舗自身が、というようにそれぞれバラバラに行われていた業務を、トータルで外側から中身まで全てを提案・プロデュースするハイブリッドなこれまでにない形のVMDおよび空間デザインプロデュース事業を行っています。

●大高さんが考える五感表現、五感を活かした空間とはどういったものなのでしょうか。どのようにして、五感デザインプロデュースということに興味を持たれたのでしょうか。

五感による空間デザインの入り口には、音の存在が大きく関わっています。実は、高円寺の阿波踊りで鐘のリード役をやっているんです。
踊り自体はもちろんですが、掛け声や鐘の音で踊り子や観客といった人々が興奮することに、心惹かれるものがありました。また音楽が大好きで二胡という中国古来の楽器を嗜んでいるのでいるのですが、音楽が人を感動させることを身を持って体感していました。

VMDで視覚に重点をおいたプロデュースをしている時、ウィンドウ・ディスプレイに置かれていたものが、ただの「モノ」・「作品」として並んでいるだけにしか見えずなにか物足りなさを強く感じた時があったんです。お客様目線で立った時に、何があれば自分はそこに気を惹かれるかを考えてみたときに、先述の自分の「心躍る感覚」から、感情に訴えるものとして、「動き」と「音」があったら変わるのではと思ったのです。
ディズニーランドだってあれだけ人の心の興味を引くものの中に音がなければ感情移入ができないはずだと。音は視覚と同じもしくはそれ以上に重要なのではと思ったのが、五感による空間プロデュースを始めたきっかけになります。

これまで五感を活かした空間演出をやってきましたが、最近では三越伊勢丹新宿店の店内アートフレームでRain Fairのプロデュースを行いました。ウィンドウ内の視覚から見えてくるストーリー性を音と映像で合体させ、お客様の心に訴える、興味を持ってもらえるような空間創りをしました。実現にあたってはもちろんコストやスピードが課題になってきますが、これまでのVMDから更に踏み込んでもっとお客様に伝えるために必要な要素(音・香・光・動き)を必要に応じて組立て、短時間で提案していくというのが、4hearsが実践する五感を活用したトータル・デザインプロデュースになります。

※参考:大高氏コラム:2014年SHOP JAPANオフィシャル・サイト「みんなの笑顔と幸せをよぶ、VMD+五感表現

●はじめてKooNeをご体感されたときのご感想・ご意見をお聞かせください。

ビクタースタジオではじめてKooNeの初期のハイレゾリューション音源を聞きました。
その時、目を閉じれば「ここは無人島のよう」「屋久島の奥深い森の中なのか?」など
音のリアルさに非常に驚いたのを覚えています。

こういったものを、これからの商業施設に取り込んでいくといいな、あったらいいなと思い早速提案したものの、体感なくして口頭でこの音の本物感を上手く伝えるのに苦労しました。

●五感の音のパートのうち、KooNeはハイレゾリューションによる高音質な音源を専用機器、独自の音響設計でいままでに無い形で提供しておりますが、これまでのVMDなどの音響設計とKooNeとの違いは、どのように感じていらっしゃいますか。

CDの音とKooNeによるハイレゾの音 という観点でいえば「感情に届く深さの違い」というのが私の感想です。
また阿波踊りの話で恐縮ですが、阿波踊りでの生の太鼓の音を浴びている状態、つまり身体に振動する音が、心(感情)も揺さぶるという感覚、このライブ感、感情の深さの度合いはハイレゾの音の在り方に近いです。一方 CDの音は耳で「聴く」という感覚で、生音を良く知る者にとっては音が平たく感じてしまうところがあります。性能の高いスピーカーで低音をあげたり、ボリュームを大きくしたりしてもハイレゾ音によるライブ感と同じではないのです。だからこそハイレゾ音は聴くではなく「体感」であり、そこがこれまでの音の質と違う良さなのだと思っています。

KooNeによる音響設計的な側面の話では、空間プロデューサーとして評価できるのは、やはり、どこにスピーカーを置いているのか、その存在を感じさせない配置と音の再生の仕方にあると思います。音の出所がわからないというのは、そこに居る人の音の感じ方が変わるということだと思うのです。通常のオーディオ・スピーカーの設置方法はスピーカーに近いところにいけばそこから音が出ていることもわかるし、その音の圧も大きいので、音を意識してしまいますが、KooNeの音響設計の仕方だと自然に音が存在しているような感じになります。
ボーカルのあるような音楽だとわかりませんが、自然音のような音は空間の中で包まれているような感じなりますね。このことは、音を重ねると、3次元で立体的な空間が現れる感じになり、この点が一般的なBGMの音質や音響設計から聞こえる感じが表面的に感じるのと大きく違うところかと思います。KooNeは空間を演出するときに音でその空間に奥行をつくりだせるのが魅力的です。

●どんな目的や期待をもってJA仙北葬祭センターさんがKooNeを導入いただいたか、その経緯をお聞かせください。

2年くらい前に葬儀業界の展示会にて五感プロデュースによる新提案を行いました。これはどういうものかというと、これまで、簡素で統一的であった葬儀の在り方をもっと故人に関わった人たちの心に残る、琴線に触れるような演出が施されたセレモニーの提案です。 例えば、故人が親しんだものの展示は百貨店のディスプレイのように、また音楽や香りを活用したものです。
この展示会で我々の提案に興味を持っていただいたのがJA仙北葬祭センターさんでした。これまでの画一的な葬儀のセレモニーから一つ抜きんでた新しい葬儀の在り方を模索されていたときに、この五感による空間デザインがマッチしたのです。

葬儀の席で緊張する空間ではなく、「ほっとする空間」「人の心に触れる空間」を意識して考えた時の音の在り方は、通常のBGMの音と音響設計ではなくKooNeによるハイレゾ音とその音響配置が適していたのです。
BGMは音楽のイメージが強く、あるものをブランディングしてしまいメロディが気になってしまうと思うのです。森の音をCD音質で流したときに森の音でさえメロディのように感じ聞こえてきてしまうのに対して、KooNeの自然音はとても空間に自然になじんでいました。
更にいえばJA仙北葬祭センターさんが導入された式場は、秋田の山々が見渡せる作りであったために、視覚と聴覚のバランスが良かったと思います。KooNe含め五感によるセンターの空間づくりは、JA仙北葬祭センターさんに好評家をいただいています。

現在、JA仙北葬祭センターさんには同業の方々が視察にこられて、関心して帰られると伺っています。みなさん口をそろえて「体感しないとこの良さはわからない」とおっしゃっているそうです。KooNeに興味をもたれた企業様から、葬儀を実施される方が喜んでもらえるようなセレモニーの企画提案の新たなお声掛けもいただいています。空間への予算のかけ方が、これまでのように壁材の質を上げるとかそういったところから、人の心に触れるところに投資するような状況になってきている感じがしています。

●4heartsさんに導入された経緯をお知らせください。

一つの理由はやはり、KooNeはその良さを口頭とカタログ資料だけではなかなか本質的なところを理解してもらえず、体感することが大切なため、トータルコーディネートで五感による空間デザインを提案する4heartsとしてはオフィスに設置しておく方がいいだろうということで導入いたしました。
実際、香りや光など他の五感の要素と組み合わせで提案できるので、お客様にも納得していただけることが多いです。

また、空間デザインという仕事柄、いろいろなクリエーターの方々が集まってきます。彼らは毎日忙しく、寝る時間があったとしても脳が休まることなく、いつも新しい情報・アイディアを探し続けています。
KooNeの空間は先にも述べましたが空間が自然音で包まれる感じになり心地良い状態に置かれるので、彼らも自分も精神的にリラックスできる状態になりミーティングもよい流れで行えるだろうと思い、実際そのように活用しています。

植栽や香、家具の質感など、今、この四ツ谷のオフィスは無人島をイメージした五感に刺激をあたえる空間になっていてKooNeは波の音と鳥のさえずりでそれを演出しています。よりいいクリエイティブを生み出すには、オフィスの中にBARを設置したり遊び心のあるオフィスというような空間のシチュエーションが大事だなと感じています。

●KooNeをより良く活用するためのアイディア、そして4heartsさんの今後の活動をお聞かせください。

今後4heartsとしては、やはり商業施設メインに、五感活かした空間プロデュースの一要素としてKooNeの活用をいろいろ提案していきたいと考えています。商業施設のエントランスやレストコーナーなどへの提案はもちろんブライダル業界や葬儀業界といった人の心を揺さぶる感動のある場所への提案も行っていきたいと考えています。
ある大型ショッピングモールでは、ファッション専門店の充実や品ぞろえの良さといった「物が売られている場所」でなく「行く価値のある場所」への存在の転換を目指しているため、どんな付加価値を提案したら多く人々に必要とされ、興味をもたれる心ときめく空間になるか、今そのような課題に挑戦しています。そんな中、KooNeによる自然音の提供は付加価値の一つとしてKeyになるように思っています。そういった意味でも今後KooNeの音にバリエーションが増えたら、色々音を重ねあわせ面白い空間を提案・実施できるのではないかと思います。

■インタビュー後記■

4hearts社のヴィジョンである「愛ある場所を創る」「笑顔なヒトを創る」「心動く時間を創る」「楽しい発見を創る」が代表の大高様の言葉の節々からも、そして4hearts社のオフィス空間からも溢れ出ているのを感じたインタビューでした。ご自身が二胡の演奏者であることで本物の「音」や感情が揺れる「音楽」を誰よりも理解されて、それを活かしたVMDや空間プロデュースを楽しんで提案し続ける大高さんにKooNeを導入し良きパートナーとなっていただけたことに感謝申し上げます。

Interviewer:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント エンタテインメント・ラボ 岡崎早苗