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人権に関する取り組み

グローバリゼーションの進展、自由貿易の拡大などにより、企業は人権に対して正負の両側面から大きな影響力を与えるようになってきています。グローバルに事業活動を展開するJVCケンウッドグループは、従業員や取引先さまをはじめとした事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権を尊重するとともに、適正な労働慣行を確保することが求められていると考えています。人権尊重の考えや取り組みをグループ全体で共有し、マネジメント体制を整備・管理することで、グローバル企業として責任を果たすべくさまざまな取り組みを進めています。


JVCケンウッドグループ人権方針(2024年9月改定)について


JVCケンウッドグループ人権方針

JVCケンウッドグループは、「感動と安心を世界の人々へ」を企業理念として掲げ、「コンプライアンスを遵守し、誠実で責任ある行動に徹すること」を行動指針の一つとして定め、事業を通じた持続型社会の実現に貢献しようとしています。この企業理念を実現する為、JVCケンウッドグループは、グローバルで事業を行う企業グループとして、事業活動を通じて直接または間接的に、ステークホルダーの人権に対して影響を及ぼす可能性があることを理解し、人権尊重の責任を果たす努力をしてまいります。

 

I. 位置づけ

JVCケンウッドグループは、「国際人権章典」(世界人権宣言と国際人権規約)、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則および権利に関するILO 宣言」、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」、国連児童基金「子どもの権利とビジネス原則」に従って本方針を定め、人権尊重の取り組みを推進していきます。本方針は、「JVCケンウッドグループ コンプライアンス行動基準」に基づいた人権尊重の考え方および責任について示したものです。

 

II. 適用範囲

JVCケンウッドグループは、本方針を全ての役員と従業員に適用し、事業活動に反映させます。また、事業を通じて影響を及ぼす可能性のあるビジネスパートナーやサプライヤーを含むバリューチェーン上の全ての外部パートナーにも本方針の遵守や、適切な対処を積極的に働きかけていきます。

 

III. コミットメント

1 [法令と国際規範の遵守]
JVCケンウッドグループは、事業活動を行う各国・地域の人権に関する法令を遵守します。また、国際的に承認された人権の基準と法令が整合しない場合は、国際的に承認された基準を尊重するための方法を追求していきます。

2 [人権の尊重と差別の排除]
JVCケンウッドグループは、あらゆる企業活動の場面において、基本的人権を尊重し、人種、信条、年齢、社会的身分、門地、国籍、民族、宗教、性別、性的指向・性自認、および障がいの有無等の理由によるあらゆる形態の差別を禁止します。また、労働者の人権を尊重し、精神的・肉体的な虐待、強制、ハラスメントなどの非人道的な扱い、ならびにそのような可能性のある行為を労働者に対して行うことを禁止します。

3 [強制労働の廃止/児童労働の撤廃/結社の自由と団体交渉権の尊重]
JVCケンウッドグループは、強制労働、児童労働、人身売買、および奴隷労働を禁止します。また、従業員の団結権及び団体交渉権を尊重します。

4 [適切な賃金および労働時間の管理]
JVCケンウッドグループは、各国における最低賃金、同一労働・同一賃金等を遵守し、性別による差を設けることはありません。また、従業員の労働時間・休日・休暇を適切に管理し、過度な時間外労働を禁止し、安全かつ衛生的で健全な職場環境の提供に努めます。

5 [プライバシーの保護および表現の自由の尊重]
JVCケンウッドグループは、自らの企業活動や製品利用、またAIをはじめとする新たな技術の利用・応用において、プライバシーの保護や表現の自由の尊重を徹底し、人権侵害を引き起こさないよう最善の注意を払います。

6 [人権デューディリジェンス]
JVCケンウッドグループは、自らの事業活動について人権デューディリジェンスを実施することで、人権への負の影響を特定、回避、緩和するように努めます。

7 [通報および是正]
JVCケンウッドグループの事業活動において、「JVCケンウッドグループ コンプライアンス行動基準」に反する行為やその潜在的懸念に対応するため、JVCケンウッドグループの全社員のみならず、ビジネスパートナーやサプライチェーンを含むすべての外部パートナーも対象とした、通報の窓口を設置しています。また利用に際しては秘密が厳守され、利用者は通報したことを理由として不利益な取り扱いを受けることがないよう、匿名での通報も可能となっています。事業活動を通じて人権への負の影響を引き起こした、もしくは助長したことが明らかになった場合は、適切な手続きを通してこれに対処します。

8 [社員教育訓練]
JVCケンウッドグループの全ての事業活動において本方針が理解され、それぞれの活動の中で効果的に実行されるよう、教育や訓練を実施していきます。

9 [ステークホルダーとの対話]
JVCケンウッドグループは、本方針の一連の取り組みにおいて、関連するステークホルダーと対話を積極的に行います。

10 [報告と開示]
上記に関する適時・適切な情報開示を行います。

制定日 2021年2月1日
改定日 2024年9月1日
株式会社JVCケンウッド
代表取締役 社長執行役員 最高経営責任者(CEO)
江口 祥一郎


労働時間や賃金に関するJVCケンウッドグループの方針を海外拠点含めた全従業員に伝達するため、人権方針は英語にも翻訳され、ウェブページを通じて全従業員が確認可能な仕組みになっています。


人権リスクマネジメント推進体制と仕組み

JVCケンウッドグループは、代表取締役による監督責任のもと、人権に関するリスクマネジメントをサステナビリティ推進室主導で実施しています。サステナビリティ推進室では全事業所を対象として、人権リスクに特化したリスクサーベイランスを毎年実施しており、リスクサーベイランスで明らかとなった全社的に取り組みが必要な事項については、全社リスク管理会議で対策を検討する全社的な連携体制を構築しています。また人権の問題は多岐にわたるため、ステークホルダーやテーマごとに複数の部門でさまざまな取り組みを行っています。

労働安全衛生については主に安全衛生委員会、サステナビリティ調達については主に調達部門、人権侵害やハラスメントに関する内部通報制度については法務・コンプライアンス室が中心に取り組んでいます。

これら個別の取り組みについて全体を把握し、日々の人権尊重活動の責任を担い推進していくのがサステナビリティ推進室であり、取り組みを行う各部門と必要に応じて連携しています。

リスクサーベイランスの具体的な仕組みについては全社的リスクマネジメントを参照ください。


人権デューディリジェンスの実施プロセス

JVCケンウッドグループは、「JVCケンウッドグループ人権方針」によるコミットメントを受け、事業活動に対する人権デューディリジェンスを実施することで、人権への負の影響を特定、防止、軽減するように努めています。年単位の継続的なサイクルとしてPDCAを回し、継続的に運用しています。人権デューディリジェンスのプロセスは下記の通りです。


■人権リスクの評価
国際規範・国内法令・各国の動向および時勢や事業特性を踏まえ、法務・コンプライアンス室が実施する人権に特化したリスクサーベイランスプロセス、調達部門が毎年実施するサプライヤーへの質問票調査(SAQ調査)、労働安全衛生委員会が定期的に実施する安全パトロールなどを通じて、人権への負の影響を特定・分析・評価する。

■優先取り組みリスクの抽出
優先して取り組むべきリスクを抽出し、全社リスク管理会議にてグループ固有の顕著な人権課題を特定する。

■防止・軽減・是正
各推進部門責任者において、潜在的な負の影響の防止および低減、顕在化した負の影響に対する是正を実施する。

■活動状況のレビュー・情報開示
リスク低減策や是正措置について、定められた中間モニタリングや最終レビューのタイミング、および毎年のリスクサーベイランスプロセスやSAQ調査の中でモニタリングを行い、取り組みの進捗を外部ステークホルダーに情報公開する。

上記のプロセスに基づいて、2023年1月には顕著な人権課題の特定とステークホルダーへの情報開示を行い、同年6月に各課題に関する取り組み状況の中間モニタリングを実施しました。また、2023年12月には最終レビューを行い、顕著な人権課題の特定・見直しを行いました。今後もアセスメント、モニタリングを継続して実施していきます。


重点的に取り組む人権課題の特定と影響評価

JVCケンウッドグループはグローバルでのものづくりに携わる企業として、自社従業員の人権はもちろん、事業活動を通じて影響を与える可能性のある地域住民の人権やサプライチェーンの広範囲に及ぶ人権について考慮することが求められていることを認識しており、JVCケンウッドグループの事業活動内容に基づき人権リスクの調査・特定を行っています。
2021年から全事業所に対して毎年実施している人権リスクサーベイランスでは、国際規範・国内法令・各国の動向および時勢や事業特性のみならず、JVCケンウッドグループのコンプライアンス行動基準や人権方針も考慮し、人権リスクを抽出しています。抽出した人権リスクについては、「責任ある企業行動のためのOECDデューディリジェンス・ガイダンス」や日本政府の「ビジネスと人権」を参考に深刻度と発生可能性からリスクを評価し、高リスクと評価された項目を優先的に取り組む人権リスクとして掲げています。

JVCケンウッドグループは、2022年度に実施した人権リスクサーベイランス等に基づき2023年1月に顕著な人権課題を特定し、ステークホルダーへの情報開示を行いました。また、2023年度に実施した人権リスクサーベイランス等を踏まえ、2023年1月に特定した顕著な人権課題を見直しました。この結果を受け、優先的に取り組むべき顕著な人権課題として次の4つを特定しました。

① サプライチェーンにおける個人情報保護
② 従業員の差別・ハラスメント
③ サプライチェーンにおける強制労働・児童労働
④ サプライチェーンにおける救済処置

なお、従業員の労務管理は、所望の成果が得られたため重点的に取り組む人権課題ではなく、長時間労働による健康障害予防として報告をしてまいります。


人権への悪影響発生の予防・軽減策と進捗モニタリング

① サプライチェーンにおける個人情報保護:
個人情報の保護に関する各国の法令、ガイドライン、その他の規範ならびに、当社グループの個人情報保護方針を遵守し、個人データの安全管理のために、規程、マニュアル、ガイドラインを定め、必要かつ適切な措置(個人データの取り扱いルール、従業員に対する教育等を含む。)を講じています。またサプライチェーン上の個人情報を保護するための体制の構築を目指し、関係部門と連携しながら必要な対策を継続的に行っていきます。

② 従業員の差別・ハラスメント:
JVCケンウッドグループは、「JVCケンウッドグループ人権方針」のコミットメントに[人権の尊重と差別の排除]を明記し、あらゆる企業活動の場面において、基本的人権を尊重し、人種、信条、年齢、社会的⾝分、門地、国籍、⺠族、宗教、性別、性的指向・性⾃認、および障がいの有無などの理由によるあらゆる形態の差別を禁止します。また、労働者の人権を尊重し、精神的・肉体的な虐待、強制、ハラスメントなどの非人道的な扱い、ならびにそのような可能性のある⾏為を労働者に対して⾏うことを容認しません。JVCケンウッドグループの従業員に対しては、定期的にハラスメントに関する内容を取り扱った研修を実施しており、継続的に啓発を行うことでハラスメントの防止に取り組んでいます。

③ サプライチェーンにおける強制労働・児童労働:
JVCケンウッドグループは、カーナビゲーションや業務用無線システムといった電子部品を組み込んだ多くの商材を取り扱っているため、原材料調達における強制労働・児童労働や、人権に関わる鉱物に関連してリスクが発生する可能性があると考えています。製品のサプライチェーン、特に原材料調達の過程において強制労働や児童労働などが発生するリスクを低減するために、サプライヤーへの質問票調査(SAQ調査)を継続的に行っています。SAQ調査の確認項目の中でも強制労働と児童労働を重要視しており、リスクのあるサプライヤーに対しては状況の追加確認と改善の依頼を行っています。また、「JVCケンウッドCSR調達ガイドライン」にも強制労働と児童労働の防止を定め、新規の取引先さまに対して賛同署名を求めるとともに、既存の取引先さまに対してはパートナーズミーティングにおいてその内容を周知しています。

④ サプライチェーンにおける救済処置
JVCケンウッドグループは、現在お客様相談窓口や内部通報受付システムなど各窓口設定を行っておりますが、サプライチェーン全体の人権苦情処理メカニズムと救済へのアクセスができる外部救済窓口の設置検討を進めてまいります。体制構築により社内外のステークホルダーから広く苦情及び意見を収集することで、サプライチェーンにおける救済のために必要な取り組みを継続的に行っていきます。

人権課題への取り組みは、すべてのステークホルダーを対象に、当社の公式Webサイトなどで、今後も報告してまいります。


人権に関わる啓発・教育研修

全てのJVCケンウッドグループ従業員は「JVCケンウッドグループ コンプライアンス行動基準」に基づいた人権への取り組みを理解するために、「人権eラーニング」を受講することが義務付けられています。2022年度に実施した研修においては、人権方針について詳しく解説することで、従業員への周知と意識付けが行われました。研修実施後に行ったアンケートでは、本研修受講者の72%が人権に対する自身の意識変容があったと回答しています。また、従業員の立場に応じ、必要な教育が適切なタイミングで実施されることが大切だと考え、新入社員に対してはダイバーシティ推進やハラスメント未然防止といった項目が含まれた新人社員研修を実施し、管理職に対しては、新任管理職研修内でハラスメントを含むコンプライアンス研修を実施しています。さらに、法務省・人権擁護委員による「ビジネスと人権に関する企業研修」を管理職含む従業員に向けて実施しており、継続的に啓発を行うことでセクハラ・パワハラといったあらゆるハラスメントを含む人権侵害を生まないよう努めています。今後も従業員の人権に対する意識の向上に積極的に取り組んでまいります。

加えて、顕著な人権課題の一つである「サプライチェーンにおける強制労働・児童労働」を含めた人権課題について意識の向上を図るために以下の取り組みを目標として推進しております。

取り組みテーマ KPI
2023年度 2025年度

2030年度
(目指す姿)

人権の尊重 調達・物流管理関連部門「人権に関する研修」(継続実施)
- 取引先向け「人権に関する研修」の実施(継続実施)

また、JVCケンウッドグループが参画している一般社団法人電子情報技術協会(JEITA)総合政策部会の「CSR委員会」では、「責任ある企業行動ガイドライン」に関する教育・啓発を行っています。2023年8月、調達に携わる社内の実務担当者は、同ガイドラインに沿ったサステナビリティ調達に関する研修を受講し、児童労働や強制労働等を含む、調達において求められる取り組みについての理解促進を図りました。今後は、取引先さま向けにも人権等に関する研修を実施することにより、サプライチェーンでの「責任ある企業行動」の理解促進を図ってまいります。


人権に関する通報や相談の窓口


JVCケンウッドグループは、法令や「JVCケンウッドグループ コンプライアンス行動基準」その他の社内規程の違反のおそれがある場合への対応として、内部通報受付システムを設置しています。なお、2022年度は内部通報に基づき対処した事案は1件でした。また、内部通報受付システムに寄せられた苦情や意見は、人権デューディリジェンスの一環としてリスクの特定や見直しにも活かしていきます。

 

コンプライアンス / 内部通報システム

加えて、外部の取引先さま・NGO等からの通報の受付に向けて、以下の取り組みを目標として推進しております。

取り組みテーマ KPI
2023年度 2025年度

2030年度
(目指す姿)

人権の尊重 外部救済窓口の設置検討 外部救済窓口の設置 外部救済窓口の設置、運用

労働基準遵守への取り組み

JVCケンウッドでは、事業を展開する各国の労働法令や最低賃金基準など、労働基準を遵守しています。なお、2022年度における労働問題に関する事案の発生はありませんでした。

英国現代奴隷法への対応


労働基準関連イニシアチブへの参画

JVCケンウッドグループは、一般社団法人電子情報技術協会(JEITA)総合政策部会の「CSR委員会」に参加しております。CSR委員会は、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)に関わる業界共通の諸課題に対処するとともに、CSRに関する専門的な見地から調査、研究、普及および対外的な提言などを行う業界団体です。CSR委員会での取り組みの一部として「責任ある企業行動ガイドライン」の策定・メンテナンスを行うタスクフォースに参画しており、その中で会員企業のCSR調達の中で発生する労働慣行に関する課題の共有およびその解決策の検討を行っています。得られた情報は社内にフィードバックし、適切な労働慣行の推進に活かしています。

詳細はCSR委員会のウェブサイトをご参照ください。

公正な労使関係

JVCケンウッドは、信頼ある労使関係が従業員の生産性とモチベーションを高め、企業の持続的成長につながるという認識のもと、積極的な労使間の対話を行っています。


労使間の対話

JVCケンウッドでは、管理職を除く全従業員が加盟している「JVCケンウッド労働組合」と、労働協約において労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)の保有はもとより、各種労働条件などについて取り決め、協議にあたっています。なお、従業員の働き方に大きな影響を及ぼす可能性がある事業上の変更を実施する場合は、労使間の取り決めに基づき、事前に説明・協議を行っています。

また、労使会議として経営懇談会や決算説明会、各種制度に関する労使専門委員会などを定期的に開催し、協議の上で合意を得られたものについて速やかに実施しています。2022年度は23回の労使会議を開催し、人事制度の見直しなどについて協議を行っています。2023年度も引き続き労使間の積極的な対話の推進により、労使間の健全な関係性を強化していきます。


JVCケンウッドグループ AI倫理方針